広島のソウルフード その2

前回の記事で広島のソウルフードのことを書いたが、
その中に出てきた「汁なし担々麺」について、もう少し深掘りしたいと思う。

私自身、以前は週一で食べるほどの汁なしマニアであったが、そもそも「汁なし担々麺」はどのような食べ物なのか?
いつ?どこで?誰が作ったのか?
そこらへんについてはあまり知らなかったので、今回改めて調べてみた。

「汁なし担々麺」

日本で一般的な丼がスープで満たされた担々麺は、1950年代に中国四川省出身の料理人陳健民が来日し、日本人向けに汁麺として改良した担々麺ではあるが坦々麺発祥の地である四川省では、汁気のないものが一般的である。
その四川省の担々麺に、店舗独自のアレンジを加えて、B級グルメとして誕生したものが、日本の汁なし担々麺である。

今のブームの火付け役となったのは広島式の汁なし担々麺で、全国的にその名前が知られる広島のご当地グルメでもある。
ゴマ風味を主役とする一般的な担々麺に対し、辣油の辛さとヒリヒリと痺れる花椒を主役にした独特のレシピでアレンジし、これが辛いもの好きな広島の人たちに受け入れられた。

広島汁なし担々麺の元祖は広島市中区で創業した「きさく」である。
当初はラーメン店であったが客が入らず潰れかけていたところ、中国人留学生が汁なし担担麺の作り方を教える料理教室に店主が参加。
その美味しさに感銘を受け、わざわざ中国・四川省へと渡り、本場の担々麺を片っ端から食べ歩き研究を重ね、ラーメン店から汁なし担々麺の店に転換。
アレンジされた汁なし担々麺は知る人ぞ知る名物となった。


その後、同じ中区にある「くにまつ」が、2010年頃から起きた第二次ブームを牽引。
店主は元々、長野県で中華そば店を経営していたが、旅行で訪れた広島でたまたま食べた汁なし担々麺の味にやみつきになり、そのまま広島に移住、店舗も移転し汁なし担々麺の店としてオープンさせた。

この「くにまつ」の特徴は、なんといってもこだわりのあるもっちりとした食感の自家製麺である。
そして、具体的なレシピを公表して汁なし担担麺の普及に寄与。
これにより新規参入する店が次々と現れ、御三家と呼ばれる「きさく」、「くにまつ」、「キング軒」をはじめ、広島には現在30店以上の専門店があり、全国にも支店や暖簾分けのお店も多々ある。
ブームはいまも加速中である。

広島ではソウルフードと言っても過言ではない、この汁なし担々麺。
一過性のB級グルメではなく、永久(A級)に続く広島グルメになってほしい。
広島に来られた際はお好み焼きだけではなく、汁なし担々麺もぜひご賞味ください!

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広島のソウルフード

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PEACE CITY に住んでおります。
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ボタニカルブームに足を踏み入れようとしています。

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