
世田谷区登録有形文化財「旧清水邸書院」へお散歩
世田谷区の某所にある「旧清水邸書院」に行ってきた。
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/bunka/001/004/d00128336_d/fil/shimizuke.pdf
1910年頃から、日本では当時の政治家たちが別荘をこぞって建設するブームがあったそうで、この施設もその一つ。
二子玉川駅から歩いて住宅街をぬけていくと、ポツンと日本の原生林が保存されている区域があり、その丘の上に立つ一軒家。
2021年に補修工事が入ったそうだが、手拭きガラスや梁に使われている木材など、できるだけ当時のものを残し続けている。(特にガラスは本当に貴重で、同じものを作れる職人は現代ではいないらしい)
旧清水邸は東京大空襲も免れ、かなり状態の良いまま保存されている。
別荘というと聞こえはいいが、実際には政治家達の懇意にしている芸術家や作家、学者を囲う秘密のサロンだったそうだ。
特に戦中、日本画家の横山大観がよく通って遊びに興じていたらしい…
現在、内部は自由に閲覧させてもらえ、月に何度か茶室としてお茶のお稽古に使われている施設となっている。
トイレはさすが現代的にリフォームされているが、他は当時のまま。
文机の並ぶ廊下は庭が一望でき、鳥のための行水用の水盆が置かれていて常に自然の音が響いている。羽を休める鳥とともに、庭からは長閑な多摩川が望める。
客間には、ちょうど雛祭りの時期だったため、飾り雛が並んでいた。
茶室のある母屋の離れはガラッとデザインが変わっていて、洋館風味。
当時イギリスのインテリアが流行っていて、留学から帰った富裕層の趣味だったそう。絨毯敷に椅子、カーテン、暖炉、小さな窓、花柄の壁紙などなど洋風であっても日本人の体格に合わせた部屋づくりで、不思議と可愛らしく見える。

お手伝いさんの部屋も残されていて、4畳くらいの小さいスペースながら着物をかけるレールや鏡台も揃い、奴隷のような雰囲気は全くない。
玄関には壁の中に創りつけられた木製の電話ボックスがあり、こういうのがあったら部屋にケータイいらないなぁと思う。
天気の良い日は本当に静かで風情があり、私も住んでみたいと思った。
*管理のために住んでいる方に聞くと、床と壁が当時のままなので冬は相当寒いそう…
特に玄関が素晴らしくて、石の土間作りで天井は高くしてあって、花や骨董を飾るために、とても広く設計されていた。
お手伝いさんや奥様が来訪者にすぐに挨拶できるように小口と呼ばれる小さな障子が作り付けられてあり、そこは茶室と直結されている。とても機能的な作り。
もはや都会生活の方が長いような私であっても、畳+木造にはいつだって、実家のように落ち着くのが不思議である。
この日は世田谷区の自立支援センターの物販もあり、可愛いクッキーを募金として購入。地域社会の生活のすぐそこに、文化財は溶け込んでいた。


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新潟県出身。田舎生まれ女子校育ち。
最近クラシックバレエを習い始め、怠惰な心身を鍛えるべく日々奮闘中。
趣味はいろんな国のオーガニック商品のパッケージ集め、アプリで縁起のいい方角を探すこと。
好きな食べ物は炊き込みご飯、苦手なものはマヨネーズ。
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