ARTIZON(旧ブリヂストン美術館)に行く〜ブランクーシ 展〜

リニューアルした銀座の美術館「ARTIZON MUSIUM」に行ってみることにした。

<公式サイト>
ブランクーシ 本質を象る|アーティゾン美術館
アーティゾン美術館「ブランクーシ 本質を象る」の特設サイトです。 www.artizon.museum

京橋駅からすぐ、東京駅からも近い所にあるこの美術館は、移転に伴う大型工事を終えてのリニューアル。(料金値上がりも驚き!)

全面ガラス張りの入場口から入るとすぐにエレベーターに通され、強制的に6階に連れて行かれる。開催会場以外のエリアに、急に行くことはできない。
しかし、いつも思うのだが、お洒落すぎる会場に行くと、トイレがない…と感じるのは私だけだろうか?

さて、今回見に行った「コンスタンティン・ブランクーシ 展」。
どの作品も写真撮り放題の大盤振る舞い。
ポスターにも使われている有名な『THE KISS』や、頭部を象ったウルトラマンみたいな卵形の作品『WOMAN』は、思ったより小さかった。
ブロンズで作られた作品はあまりに美しく、いまさっき仕上がったばかりのようにしか見えない。

抽象的な表現になる前の、若い頃の秀作もカッコよく、本人の写真もたくさん展示されている。
年代順に見ていく構成になっているが、どんどん作品サイズは大きくなっていく。
晩年に取り組んだ「鳥」の作品群は、台座も合わせてどれも大きな造形。
あるアーティストに聞いたが、大体どのジャンルのアーティストも晩年には作品が大きくなりがちだそう。
それは熟練の技がそうさせるのか、ピカソが言ったように「子供の心に戻るから」表現が大胆になのかと思いきや、ほんとの理由は「みんな老眼で細かいことが見えなくなるから」なのだそうだ…芸術家も人でした。

有名な作品が一堂に揃った貴重な機会。
会場は朝一番早い時間の入場にもかかわらず、かなり混み合っていた。
客層の年齢はかなり高い。夏休みの家族連れ以外はほとんど60~70代くらい。
彫刻ってご年配の方に好まれるのだろうか?…それとも今の若者よりも、昭和の人の方が好奇心旺盛なのだろうか…などとつい作品以外に想いを巡らしていた。

どの作品もネットで検索すればすぐに表示される有名作品ばかり。実際のアトリエ での配置を再現した空間や、制作姿を記録したビデオ上映もあった。

絵画と違って360度どこからでも、グルグル回って見られるのが彫刻のいいところ。

様々に作品を眺めたが、個人的に最も心に残ったのは、その作品よりも天窓付きの床まで白い彼のアトリエ だった。
こんなに自然光でいっぱいの空間にいたら、毎日作品作りたくなるだろうなぁと思う。
彫刻については全く詳しくないが、ブランクーシ の作品はどれも気持ちの良い空間で作られていることがひと目でわかる。
空気が綺麗になるような清純な造形に、人気の理由がわかったような気がした。

せっかく来たのでついでに、常設展示で日本人の作品群も見る。
しかし、当時の画材の質もあろうが、ブランクーシ の爽やかな作品群を見た後だと、どれも茶色っぽく見えてくる。

どうしてそう見えてしまうのか考えていると、ふと、よく”カリスマ性がある”とか、”華がある”人のことを「オーラがある」というが、それは”非言語コミュニケーション能力の高さ”であると何かで読んだことを思い出した。

いろんな捉え方があると思うが自分なりに咀嚼すると、「日々、人が見ていないところで何に時間を使っているのか」が、言葉にせずとも如実に現れるということかと思う。

作品そのものが何を象っているか、何色で塗られているか、何国のどの人種が作ったかなんてことは本来意味がなくて、作品が纏う「空気」を自在に演出できるかどうか(または演出されているように見えるまで作れるか)がアーティストの肝になるのかな〜などと物思いにふけりながら、何も買わずに美術館を後にした。

Profile

momoPB
momoPB
新潟県出身。田舎生まれ女子校育ち。
最近クラシックバレエを習い始め、怠惰な心身を鍛えるべく日々奮闘中。
趣味はいろんな国のオーガニック商品のパッケージ集め、アプリで縁起のいい方角を探すこと。
好きな食べ物は炊き込みご飯、苦手なものはマヨネーズ。

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