新春・浅草歌舞伎」に行ってきました!

2024 年 1 月、日本は元旦に大きな地震が発生しました。
まさか世界中がお祝いムードの中で…私の生家が震源地ととても近いこともあり、ただ母や兄弟と一緒に不安の中で過ごした新年でした。
その後職場のある都内に戻りましたが、しばらく余震の恐怖は続き、被災された方々のために、募金を送ることくらいしかできないことにも憤りました。

そんな居た堪れないお正月の中でも、少しでも楽しもうと、母の友人の方が「新春浅草歌舞伎」へ誘ってくれました!

演芸場自体入ったことがない私は、どんなマナーがあるのかも知らず、知識 0 で行ってもいいのか?と緊張しましたが、歌舞伎の中でも新春公演は、あまり歌舞伎に詳しくない人
たちにもわかりやすい内容で揃え、敷居を下げた内容の公演なんだそう。
演目は、古典→閑話休題的な短い演目(ダンスやコメデイ劇など)→人情ものとなっており、午前と午後で内容が変わります。

当日は、母のご友人+私+上京してきた母の三人。
この春の公演回の後、出演者を総入れ替えするそうで、ファンの方々がポスターの前で記念撮影をされている姿がたくさん見られました。
(ここ数年は、テレビにも積極的に出て活動している尾上松也さんがトリを務めていましたが、来年からは誰になるのでしょうか?)

会場に入ると、なんと席は花道の真横!
自分がこんなところにいて、役者の演技の邪魔なんじゃないかと妙に自意識過剰に…
演芸場は飲食自由なので、入り口で浅草だけで買える弁当の仕出しがあり、母と二人でいそいそと稲荷寿司とおこわ弁当を購入。

劇場ブザーが鳴り、いよいよ舞台開始!
お年玉として、役者による新年のご挨拶のサービスがあり、そこで何度も「ケータイ電話を切ってくださいね!」と念押しされました(笑)

演目は『一谷嫩軍記 熊谷陣屋(いちのたにふたばぐんき くまがいじんや)』からスタート。
「平家物語」から源平合戦を題材に、戦乱の世に自分の子を犠牲にした源氏の武将・熊谷次郎直実(くまがいのじろうなおざね)の無念を描く古典劇です。
言葉は全て当時の古語であっても、なぜか話の筋はわかるのが不思議です。
ラスト、熊谷が出家して、坊主頭で花道をかけていくシーン。何度も花道を歩いては立ち止まり…を繰り返し、熊谷の悔恨の深さを表現するのですが、傍で見ていますと、役者の涙や汗が全て本物であることがわかり、圧倒されました。

第二幕は 20 分の短い演目「流星」。
雷神夫婦と子ども、姑の騒動を一人で踊り分けるコメディ。役者一人で4役をお面だけで演じ分けるのですが、あまりに素早くてどうお面を取り替えているのかも判らず、あっという間に終わりました。たった一人でも観客を飽きさせない、役者魂を感じます…

最後の演目は江戸人情歌舞伎の傑作『新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎(しんさらやしきつきのあまがさ さかなやそうごろう)』。
お酒が大好きで、飲んで暴れる癖のある主人公・宗五郎が、家族との禁酒の誓いを破りお酒を飲んでしまう。その理由とは…?
主人公役の尾上松也が登場するなり拍手喝采!居眠りしていたお客さんも起き出し(笑)、さすがスター!といった感じ。
確かに尾上さんは格好良いですが、私は密かに、女房/おはま役の女形・坂東新悟さんの演技に惚れ惚れ…宗五郎を追いかけて花道を駆けていくときに、本物の女性よりも美しく簪を刺し直す仕草を目の前で見て、ちょっと好きになりました…
花道を走りながら暴れるシーンでは、タライや棒を観客の頭上スレスレで振り回すため、殴られるかと冷や冷や!!
最後は涙の大団円となり、お正月にふさわしい心温まる演目でした。

出口には出演者一同と記念撮影できるパネルが!
坂東新悟さんと写りたかったのですが、他のお客さんに気後れして撮りませんでした…
帰り道、三人で人気のない浅草寺を歩き、喫茶店に入ろうとしましたが、夜はどこも閉店。
仕方なく、風情はありませんが、スターバックスでコーヒーを飲んで帰りました。

初めての歌舞伎で、花道から間近に役者を見て汗や涙を被り、棒で殴られそうになったり、衣装の着こなしの美しさや演技に感動したり、女形の所作の美しさを見て自分の日常の挙動を反省したり…地震への恐怖が吹っ飛ぶ楽しい時間でした。

今度は私も着物で来てみたいと思います。
インドネシアの方も、もし歌舞伎を見る機会があったら、ぜひ花道の近くの席で見てください!
きっと、美しい役者に恋すると思います。

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