死んでも食べたい!? 日本のソウルフード「お雑煮」

季節がだいぶ過ぎてしましたが、日本では1月1日の元旦から3日の間に「お雑煮」という伝統的な日本料理をいただく習わしがあります。「お雑煮」は全国各地で浸透しており、各家庭で作られ親しまれています。

まず、お雑煮の主役である餅には「角餅」か「丸餅」があり、地域によって分かれています。東日本では角餅が多く、西日本は丸餅が多く使われます。古くは丸餅が主体でしたが、江戸時代に平たく伸ばして切り分ける「のし餅(角餅)」が生まれたようです。また一部には、餅を一切入れない「餅なし」のお雑煮があるのも興味深いです。

餅の調理方法も「焼く」と「煮る」があり、その両方を出す地域もあります。下記はお出汁の有名メーカーの全国で行ったアンケートの数値になります

・角餅 「焼く」 43.8% 「煮る」12.9%
・丸餅 「煮る」 32.5% 「焼く」 10.8%

角餅と丸餅で「焼く」「煮る」の数値が反転するのも面白いですね。

味付けは大きく分けて、すましと味噌(主に白味噌)と2つがあります。もっとも古いお雑煮は「垂れ味噌」で食していたという記録があり、後世で醤油を使ったすまし汁が加わります。だしは、鰹節や昆布、煮干しが全国的に使われていますが、地域によって焼きハゼ、貝柱、鯖節、アゴ(トビウオ)、干し海老など多彩です。

1月1日と2日とで味付けの変わる地域もあります。

さらに地域によってさまざまな具材が使われています。魚は鮭や鰤(ブリ)、クジラ、車海老、ハゼやドンコ、焼干し大海老、ホヤやアサリ、ハマグリ、牡蠣と多彩です。

一方肉類は少なく、鴨や山鳥のほか、鶏肉は明治以後と新しいもの。野菜は全国的には大根・人参が、また関東・東海・近畿・山陽・九州では里芋が用いられています。ワラビやセリなどの山菜、海苔・豆腐、きな粉や餡餅を使う地域もあります。

「雑煮」という名前がはっきりと文献に登場するのは室町時代で、今から500年ほど前のことだそうで、当時の具材は、餅やアワビ、ナマコ、大根、青菜、花鰹、里芋などでした。アワビは不老長寿、ナマコは米の豊作を意味し、縁起の良いものが選ばれていました。

当時のお雑煮は正月だけに食べられるものではなく、上流の武家や公家が大事な客人をもてなす饗宴の料理のひとつでした。本膳料理という形式にのっとり、「式三献」という三三九度の酒に添える肴のひとつとして、婚姻の儀式にもふるまわれていたそうです。これは今でも、正月にお屠蘇とお雑煮を一緒にいただくことに続いています。

「お雑煮」を食べる根本には新年にやってくる歳神様に捧げ、それをおろしていただくものであったそうです。

しかし残念ながら、毎年餅による窒息事故が必ず発生いたします。今年も正月三が日には事故が集中し、元旦だけで67件、三が日全体では127件の死亡事故が発生しました。

そんな危険な料理でありますが、お正月意外にも通年で「お雑煮」を出しているお店があります。「銀座もちふじ」さんhttps://www.ginza-mochifuji.com/ です。

興味がありましたらご予約の上、伺ってみてはいかがでしょうか。

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