
アンブレラ ブルース
長年使っていた傘が壊れてしまいました。
ある日、傘を開こうとしたら上手く開くことができず、力任せに開こうとしたら壊れてしまったんです。お気に入りというわけではなかったのですが、ずっと使っていた傘だったので愛着はそれなりに持っていました。
壊れたといっても「骨の部分が曲がってしまった。」という感じではなく、見たことのないようなキレイな壊れ方をしていて、まさに力尽きた状態です。ある意味とてもデザイン的、芸術的な壊れ方です。
きっと長年使っていた影響で骨部分が錆びて痛んでいたのだと思いますが、今になってその姿を写真に撮っておけばよかったと後悔しています。なにしろ、その状態を上手く説明できないのです。絵に書いて説明するのもちょっと難しい。仮に「壊れた傘の絵を描いてください。」と言われてもあの壊れ方を想像して描く人は、ほとんどいなのではないかと思います。それほど不思議な壊れ方をしていました。あえて説明するなら「骨の部分が全部外れて、ファーっとなった感じ」といえばよいでしょうか。「ファー」という表現がポイントです。
でも、たとえば誰かに「この間、傘が壊れたんだけど、骨のところがファーっとなった感じなんだよね。」と話したとしてどうでしょうか。そんな説明を聞いで、相手はどんな反応をするのだろうと思うと、誰にも話すことができません。

とにかく、長年使った傘に別れをつげたわけですが、ちょうど梅雨の時期でしたので次の傘を早く探さなければいけません。でも、色や長さ、軽さ、持ちやすさなどを踏まえ時間をかけて慎重に選びたい。
それまでのつなぎとして一旦ビニール傘で凌ごうと考えました。
ビニール傘はコンビニでも手軽に買えるし安価なもの。反面、安っぽい印象もあって、おしゃれとは程遠い印象で今までは無意識に避けていました。おそらくここ15年位は使っていなかったと思います。雨が降る日、久しぶりにビニール傘を使ってみて驚いたのが視界が驚くくらい明るいということ。横断歩道で信号待ちをしているとき急に違和感を覚え「えっ・・明るい。」とつい声が出てしまったほどでした。通常の傘なら布で隠れてしまう部分が、透けて見えてるのだから当然明るいはずです。視界が広くなるので安全対策としてもよいですね。
雨の日、落ち込んだ気分をカラフルな傘でリフレッシュするという人も多いと思います。その日のファッションや気分にあわせて傘を選ぶのもとても楽しいですよね。でも、ときどきビニール傘を使ってみるのもよいのではないでしょうか?それもまたリフレッシュの一つのように思います。
傘といえば、「花ざくろ」のことをときどき思い出します。「花ざくろ」は藤山寛美主演の松竹新喜劇の舞台ですが、わたしは実際の舞台ではなくDVDで観ました。
一般的に、傘が印象的な作品といえば、たとえばジーン・ケリー主演の映画「雨に唄えば」や、カトリーヌ・ドヌーヴの「シェルブールの雨傘」などが人気かもしれません。
でも、わたしは断然「花ざくろ」なのです。
物語のあらすじなどは各自調べていただくとして、終盤、藤山寛美演じる主人公が番傘をさす重要な場面があります。その傘のさし方が最高なのです。
かっこよくて、泣けて、でもやっぱり笑ってしまう。という、とても良い場面になっています。
DVDで観ることができますので、興味のある方は是非チェックしてみてください。

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”日常を少し違った視点で見てみる”をテーマに
自分の周囲、半径5メートル位にあるものなどについて書いています。
音楽やアート、文学が好きなグラフィックデザイナー。
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