映画と眠りと豊かな時間

実際のところはわかりませんが、最近は映画館に行く人が減ったとよく聞きます。理由はきっといろいろあるのでしょうね。
たとえば
・サブスクでしか見ない。
・面白そうな映画がやってない。
・映画のほかに、もっと楽しいことがある。
・忙しくて見に行く時間がない。
・2時間って長い 
・そんな時間があるならゲームをしていたい
・そもそも料金が高い
などでしょうか?

実は、わたしも映画館に行かなくなった人達の中の一人です。
以前は頻繁ではないものの気になる映画があれば行ってましたが、ここ最近はほとんど映画館に行くことがなくなりました。行ったとしても数年に1回くらいでしょうか。「最近、映画館で観た映画は何?」と聞かれても、すぐに浮かばない位、その回数は減っています。
ただ、わたしの場合は「行かない」というよりは「行けない」というのが正確な表現かと思います。それはとてもシンプルな理由で、映画館で「少しだけ寝てしまうということ」
これだけです。 映画館のほどよい暗さ。そして椅子の座り心地、少し斜めになった姿勢、そして身体に響くスピーカーからの音がわたしを眠りに導くのでしょうか。

最初は事の重大さに気付いていませんでした。「映画館って気持ちよく寝られて良いな」くらいに思っていました。しかし、これがずっと続くとそうも言ってられません。

ひどい時は上映時間の半分ほど寝てしまったという時もありました。
その時は、とても静かで落ち着いた白黒のドキュメンタリー映画だったので仕方ないですが(いや、仕方ないことはない。)もはや、それは映画を観に行ったというより、眠りに行ったら、たまたま映画がやっていたというような状況。

さらに、この睡眠問題のポイントとしては、誰かと一緒に映画を観にに行くことが難しいということがあります。映画が終わったあとに「寝てたよね?」や「確実に寝てましたよね?」などと言われてしまうことも多く、一瞬気まずい空気が流れることもあります。
そもそも、お金を払ったのに寝てしまってはもったいないわけです。映画館はわたしにとっては、そんないろいろなリスクが潜んだ場所なのです。
とはいえ、映画は好きなので情報としてはチェックしています。映画雑誌を読んだり、映画の予告編をいろいろチェックしたり、アカデミー賞も気になります。

数年前、急に時間が空いてしまい、どうしようかと悩んでいたところ、ふと映画を観たいと思い、ちょうど公開されたばかりで話題になっていた「トップガン マーヴェリック」を観に、数年ぶりに映画館に行くことにしました。
映画自体もすごく楽しみでしたし、今回こそは絶対寝ないと意気込んで臨みましたが、やはり寝てしまいました。しかし寝てしまった時間はおそらくかなり短い時間で、ほんの一瞬だったと思います。観終わったあとは、ただただ後悔です。あの素晴らしい映画の一体どこに寝るタイミングがあったのだろうか・・
「トム、ごめん。」そして「製作関係者の皆様、ごめんなさい。」と心のなかで謝罪。
スクリーンの向こうではマーヴェリック達が作戦の成功を祝っている中、わたしは戦いに敗れてしまったわけです。

そんな、わたしも今年は2本映画を観に行きました。
どちらもとても良い映画で、その世界にゆっくりと心地よく浸ることができました。
午後の早い時間に映画館に入って、映画を観終わって外に出てきた時にはあたりはもう夕方になっている。映画館に入る時には疎らだった人通りも、仕事帰りの人たちや呑みに行く人たちが多く行き交っている。売店で買ったパンフレットを手に持って余韻を感じながら街を歩く。見慣れた風景も少し違って見えてくる。

映画を観てる時間も好きだけど、観終わったあとのこういう時間が好きだったなということを思い出しました。たとえ、少し寝てしまうとしても、やっぱり映画館で映画を観るという時間はとても豊かで貴重なものだと改めて感じ、また映画館に通いたないと思う最近です。

Profile

MA
MA
”日常を少し違った視点で見てみる”をテーマに
自分の周囲、半径5メートル位にあるものなどについて書いています。
音楽やアート、文学が好きなグラフィックデザイナー。

関連記事一覧