白い靴と重力

靴を買うのがとても苦手です。

品質の良いものは、それなりの金額になります。もちろん自分自身の身体への影響も大きく健康面から考えても、靴は非常に大事なアイテムといえるでしょう。
そんな大事なものを簡単に決めろというのはとても難しい話で、靴を買うときは時間をかけて考えて買うことにしています。
「長く履きたいのでできるだけシンプルなものがよい。」「自分の好きなファッションとも相性の良いデザインやカラーリング。」などいろいろ要望はあります。

店では当然試し履きをします。少し歩いて足の裏や足首の感触もテスト。その場で軽くジャンプしてソールの硬さをチェックすることもポイントです。しゃがんでみることも大事ですね。できれば、普段使っているバッグを身につけて歩いてる姿を大きな鏡でチェックしたい。とも思うのですが、細かくチェックしているとキリがないのでやりすぎには注意しています。

しかし、それら店頭でのチェックをクリアしたとしても、それはあくまで店で履いたときの感覚にすぎず、実際に普段歩いている道で履くと印象や感覚が違ったりすることも多いので困ります。

ということで、大体同じ靴を何年も履いていることが多いのです。もし靴が傷んできたら、同じメーカーで同じ型番のものを買うこともあります。
しかし、それはそれで悩ましいのが、長年履いた靴と買ったばかりの靴では当然履き心地も変わってますし、靴自体の微妙な個体差もあります。
なので靴を買うのはやっぱり苦手。という結論に戻ってしまうのです。 できれば「誰かに選んでほしい!」「コーディネートしてほしい」と思っています。

昔はお洒落を気取って派手な配色や、紫色、紺色、黒色、茶色など基本的には色が使われている靴を買っていました。白い靴を買うなんてことは全くありませんでした。それに白い靴を履いた時のあの「ふわふわ感」がとても苦手だったのです。

色彩心理学では、濃い色と明るい色では同じ重さの荷物でも、感じる感覚が違うということも言われます。まさにそういうことなんです。
白い靴は足元が軽い感じがするので、足が空回りしてなんだか歩きづらいし落ち着かない。
しかし、数年前に思い立って白い靴を買ってみたところ、なぜか身体にしっくりと馴染みました。
あの苦手だった「ふわふわ感」は、どこへやら。むしろ心地よく感じるようになりました。
足取りが軽くなる感じがとても心地よいし、なんだか早く走れそう。今まで白い靴に感じていた印象が逆転した瞬間でした。

私の人生にも白い靴の季節がやってきました。

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MA
MA
”日常を少し違った視点で見てみる”をテーマに
自分の周囲、半径5メートル位にあるものなどについて書いています。
音楽やアート、文学が好きなグラフィックデザイナー。

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