
美しい冬の景色が楽しめる映画『ラブレター』
映画『ラブレター』は、1995年に公開された岩井俊二監督の長編第一作目で、日本の冬を舞台にしたとても繊細で詩的なラブストーリーです。
物語は、婚約者を亡くした女性・渡辺博子(中山美穂)が、彼のかつての住所に手紙を出すところから始まります。彼女はもう返事が来ないことを知りながら、思いを伝えるように書いたその手紙。けれど、なんと返事が届くのです。しかも差出人は、亡くなった彼と同じ名前を持つ女性・藤井樹(中山美穂、二役)。現在と過去、記憶と偶然が交差しながら、そこから、過去と現在、日本の静かな風景の中で、ひとつの初恋の記憶が優しく解き明かされていきます…。
この映画の魅力は、炉から広がる橙色のあたたかな灯りや、図書室の窓から差し込むまばゆい光が登場人物を包み込む場面など、幻想的な美しさと共に、登場人物たちの表情を繊細に映し出しているところでしょう。派手な展開はなく、「間(ま)」や雪景色のような静けさが心に残ります。中山美穂が一人二役を演じ、時間と記憶が交差するなど話が混乱しそうですが、とても丁寧に演出されています。


この作品は第19回日本アカデミー賞では優秀作品賞に加えて、秋葉茂を演じた豊川悦司が優秀助演男優賞と話題賞(俳優部門)を、少年時代の藤井樹を演じた柏原崇と、少女時代の藤井樹を演じた酒井美紀が新人俳優賞を、音楽を担当したREMEDIOSが優秀音楽賞を受賞しました。また一人二役を演じた中山美穂はブルーリボン賞ほか数々の賞を受賞。当時の世間の方にもたいへん評価の高かったことがわかります。
また日本国内だけでなく、海外でも(特にアジア圏)高い評価を得ました。1999年に韓国と台湾で公開されて人気を博し、冬季の小樽へ訪れる観光客が急増するきっかけとなりました。国際的に知られロケ地となった小樽では公開30年たった今でも、多くのファンが訪れるそうです。
公開当時の1995年はインターネットがまだ発達途中でSNSもない中、多くの人に観賞され評価された作品です。また今はほとんどお見かけしない「手紙」を題材しているなど、現在とのギャップもふくめ楽しめると思います。
今年2025年は作品上映から30年、改めて観てみるのはいかがでしょうか。
前に観た方は懐かしく、初めて観る方にも懐かしい気持ちになる、そんな映画だと思います。
Profile
- 経年劣化の為あちこちに不具合がでて通院中。歩く速度は 5km/h
Latest entries
Food2025.12.17日本人に愛される調味料「七味唐辛子」
Lifestyle2025.12.15美しい冬の景色が楽しめる映画『ラブレター』
Food2025.10.15死んでも食べたい!? 日本のソウルフード「お雑煮」
Lifestyle2025.07.07日本の日用品のデザインくらべ











