世界遺産 「宮島」

「日本三景のひとつ」「世界遺産」「厳島神社」などなど、数々の肩書きを持つ観光地・宮島。
広島に住んでいると、なんだか“いつでも行ける場所”という気持ちがどこかにあって、逆に足が遠のいていたりもする。
でも先日、ふと思い立って家族で行ってみたら、やっぱり素晴らしかった。
改めて「世界に誇れる場所って、こういうところなんだな」としみじみ感じた。

海の上に立つように建てられた厳島神社の朱色の社殿は、何度見ても美しい。
干潮と満潮でまったく違う景色になるのも面白くて、「干潮の時は鳥居の下まで歩いて行けるんだよ」なんて言いながら、子どもと一緒に眺めていた。
潮の匂い、寄せては返す波の音、遠くから聞こえてくる鹿の鳴き声・・・。
非日常がそこにはあって、でも不思議と落ち着く空気が流れている。

そもそも宮島って、ただ「映える観光地」なだけじゃなくて、ものすごく歴史が深い場所。
平清盛がこの場所に神社を建てたのは、なんと12世紀のこと。
海と神の世界をつなぐ神聖な場所として、ずっと守られてきたというのも納得。
境内の建築や配置ひとつひとつに意味があると聞いてからは、ただ歩くだけでもなんだか背筋が伸びる気がする。

とはいえ、観光地らしさもちゃんと楽しみたい私は、やっぱり商店街をぶらぶらしてしまう。
揚げもみじに牡蠣カレーパン、焼きたてのにぎり天…誘惑が多すぎる。
鹿が近づいてきて紙袋を狙ってくるのも、今となっては「宮島あるある」。

あと、あまり知られていないけど、山も良い。
ロープウェイで登った弥山(みせん)は、登頂までちょっとしたハイキングになるけれど、頂上からの眺めはまさに絶景。瀬戸内海にぽこぽこと浮かぶ島々を眺めていると、時間を忘れる。
弘法大師が修行をした場所としても知られていて、神社とはまた違う「静かな荘厳さ」があるのも好きなところ。

たまに「世界遺産って、観光客向けにちょっと大げさに言ってるんじゃないの?」
なんて疑問に思うこともあるけれど、宮島に関しては本当に“本物”だと思う。
外国人観光客がわざわざ飛行機でやって来る理由も、よく分かる。
広島に住んでいると、つい「いつかまた行こう」と思いがちだけど、逆に、地元にあるからこそ、その価値をもっと味わいたい。
今度は早起きして、朝の宮島を散歩してみようかな。人の少ない時間に、静かな鳥居を眺めながら。
(いや、でもやっぱり揚げもみじも食べたい)

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PEACE CITY に住んでおります。
アウトドアブームが落ち着いた今、
ボタニカルブームに足を踏み入れようとしています。

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