
「オーブリー・ビアズリー展」に行ってきた!〜三菱一号館美術館〜
寒風吹き荒ぶ1月から、やっと冷え込みも緩んできた2月。
2023年から改修工事で閉館していた、東京駅と有楽町の間に位置する「三菱一号館美術館」に行ってきた。
イギリスの夭逝芸術家、オーブリー・ビアズリーの作品が150点も来日し、英国V&Aが全面協力している気合の入り具合。
Webバナーになってももうオシャレ。ビアズリーの表現はあくまでイラストだが、現代でも全く問題ない完成度を誇っていることが、ケータイ画面から見ていても感じられる。
私が学生の頃に、一時期ブームになったことがあり、誰も彼もが彼のタッチを真似していて、食傷気味になってから、あまり見なくなってしまっていたが、原画が観られるならばと、いそいそと向かった。
同行する友は「展示見なくていいからグッズだけ買いたい」などと言い出し、何を言っているんだこんな貴重な機会を!とくどくど説得しながら歩く。
有楽町のビル街からいきなり可愛らしいオレンジ色の煉瓦造りの建物が急に現れる。
大通り沿いの方からはすでに人が並んでいるのが見え、すわっまさか開館前から外まで人が並んでいるのでは?!と思いこみ、「私も…グッズだけにしようかな…」などとさっきまで偉そうに芸術に関して熱弁を奮っていたくせに急激に弱気になる。
しかし、よく見るとこちらは玄関ではなく、併設されているカフェの方の玄関だった。

カフェ側を通り過ぎると鬱蒼とした緑に覆われた中庭に入る。
ちょっとわかりにくいが庭の中に入っていくと、ガラス張りの美術館入り口に入れる作りだ。


美術館に入らなくてもこのジブリのような庭で、記念撮影やインスタ用の自撮り写真を撮りに来る観光客も多かった。
しかし開館時間から来れば空いていると考えたのは甘かった。
すでに行列ができており、6人ずつの入館となる。人数制限があるおかげで凄まじい混みではないことが救いだ。

展示の前半は彼の10代のころ、小説を読むのが好きで、将来は挿絵画家になりたくてイラストの技術を身につけ仕事につなげようと奮闘する頃の作品からスタート。
本人の横顔のポートレートが有名だが、この写真には別カットも存在する。写真のポーズも神話からインスピレーションを得ているらしい。筋金入りの文学好きのようである。
まだプロとして本格デビューする前から、すでにスタイルは完成しているが、どこか野暮ったく、ただ細かいだけで技術にこだわりすぎているようにも見える。いかにも若い青年の自意識が強い印象だった。
しかし、オスカー・ワイルドの戯曲の挿絵に抜擢されてから一気に垢抜けていく。
ビアズリーの作品は、その細かさの影響もあるが、どれもA4サイズできっちり揃えられている。
10代の頃は人の顔に細かい描きこみが多く、あまり美的ではない。しかしプロとなってからは、顔は目鼻口がワンポイント的になり、髪の毛や植物をより明確に描くようになっていく。興味の対象が変わっているのがわかり面白かった。
晩年(と言っても実質の作家期間は4年弱)は線描の細さへのこだわりがなくなり、生活費のために俗っぽいエロイラストも手がけるようになっていくが、手指の表現が見事で、耽美というよりは工芸のような品を感じた。
原画ではない初刷りのスペースは写真撮影OKのせいもあり、全く正面から鑑賞することができないほど混み合う。
しかし、徐々に展示作品の間隔が空き、同時代の別の作家の作品スペースも混ざり始めると人混みがばらけ、じっくり鑑賞できるようになっていった。
いい天気で、静かで、照明も薄暗いので、だんだん眠くなっていく…ベンチも所々に設置されているが、座ったら間違いなく寝る。寝る確信がある。
そうなると後はテキトーに見て終わってしまう…ので、必死で目を見開きながら全館〜常設展まで見て回った。


展覧会限定グッズも見にいくが、本当にカッコよく洗練され、どれも持ち歩きたくなるものだった。適当なトートバッグに印刷されているだけでも高級そうに見える。
それだけビアズリーの作品が今のデザインと変わらないレベルであるということ。
全く古さを感じさせないのは、割と現代に近い時代の作家だからか、私の個人的な好みなのか。日本人にはモノクロ線画は漫画として当たり前に日々見ているから、目が慣れているからだろうか。

そして、同行者はお目当てのグッズを買いあさり、ステッカーシールのセットから「これだけ興味ないからあげる」と、お気に召さなかった謎のピエロのシールをくれたのだった…
Profile
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新潟県出身。田舎生まれ女子校育ち。
最近クラシックバレエを習い始め、怠惰な心身を鍛えるべく日々奮闘中。
趣味はいろんな国のオーガニック商品のパッケージ集め、アプリで縁起のいい方角を探すこと。
好きな食べ物は炊き込みご飯、苦手なものはマヨネーズ。
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