東京銀座・数寄屋橋交番のトリビア
日本人なら知っている人も多いと思いますが、東京銀座の数寄屋橋交差点にある有名な交番のお話しです。
東京都の文化デザイン事業の一環として、「日本の交番のシンボルとなるべく、オシャレな交番を作る!」という掛け声の中、一番最初に選ばれて、1982 年に竣工したそうです。
三角屋根の上には丸い待ち針のようなものが刺さっていますが、これはまさに巨大な「待ち針」なのです。
設計者は当初から、この数寄屋橋交番の屋根の先端に何かのオブジェを付けようと思っていたそうです。しかし、警視庁で実施される大事な説明会が迫っているにも関わらず、なかなか良いアイディアが思い浮かばず、最終的なデザインを決めれないまま説明会の日を迎えてしまいました。
困った設計者は、製作した完成予想模型の屋根の先端に、『とりあえず』事務所にあった待ち針を突き刺してプレゼンテーションに挑み、「この部分に後から飾りが付きます」と説明し提出したそうです。
ところが「この部分に後から飾りが付きます」という話が審査の上層部に全く伝わらなかったようで、「仮」で出された状態、すなわち待ち針が刺さった模型が、そのままの形で許可されてしまう事態になってしまいました。
当然、設計者は大あわて。再度、完成したデザインを持って修正をお願いしましたが、「あの模型の形で予算と承認が降りてしまっているので変更はできない」として受け入れてくれなかったらしいのです。
融通のきかない日本のお役所の典型例です。
設計者は抗議しようかとも思ったようですが、結局は「シンプルだし、建築デザインとしてこれも良いか」と自身を無理に納得させて諦めたそうです。
こうして、巨大な待ち針が銀座の街に完
成してしまいました。ただしこの待ち針の先端の丸い部分をよく見ると線が何本か入っていて、「これはデザインしたものです」と分かるようにしたそうです、デザイナー・建築家としての意地かも知れません。
残念ながらこの交番、老朽化等の関係で建て替えが決まっているようです、生で「巨大なまち針」を見たい人は早めに見たほうが良さそうです。
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大阪生まれの東京育ち、子供の頃芸能事務所に所属して数年間活動していました。
オールドキャンピングカーでのお出かけと野鳥、コーヒー、クラシック音楽が好きな middle age
です。
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