
Rick Owens〜ステレオタイプへの対抗〜
前回yohji yamamotoについて書いたが、今回は少し雰囲気が似ているブランド『Rick Owens』について書いてみる。
*プロフィールについては、ネットにたくさん載っていますがこちらの記事がわかりやすいのでご参考まで↓
リック・オウエンス : Rick Owens – ファッションプレス リック・オウエンス(Rick Owens)のブランド情報。
日本でもrickの靴を履いている人をよく見かける。
もはや定番となったソールが白くて厚底のハイカットブーツは、履いている人を実際に見かけると、ものすごく颯爽と歩いているように見える。*ご本人も愛用
yohjiと同じくadidasとのコラボが世間にもたらした影響は相当大きい。
「ストリート・モード」と呼ばれるスタイルを確立し、一貫した独自の美意識で服作りを続けるブランドだが、個人的には”ストリート”というよりか、民族衣装のディテールに現代カルチャーの要素を組み入れるのが抜群にうまいブランドだと思う。(私の感じる民族っぽさというのがヨーロッパからすると”ストリート”と形容されるのかもしれない。)
近年は服に飽き足らず、どんどんコンセプチュアルになっていき、自分の首を象ったフィギュアをモデルに着せたり、インテリアにして発表したり(ご自身が四つん這いになって背中に板を載せているテーブルとか、全裸の立像とか…こんなの部屋に置いてたら強盗も逃げ出すだろう。)と、我が道をいく個性を遺憾無く発揮し続けるが、本人はお喋りは好きではないようで、話している実際の映像はほとんど見たことがなかった。 が、なんと最近、vogueの取材で自宅を公開していた。

デザインそのままの、華美に飾らない本人の生活。
そして優しそうな人柄が伝わる素敵なインタビュー動画に仕上がっている。
あまりに素敵なので何度も何度も見返して、Rick Owensの服、買っちゃおうかな?!などと、すっかり広告戦略に引っかかっている始末である。
(ちなみに、ラグに使っていると言っている軍用のブランケットは、ネット検索すると意外にも安価で購入できるもので、真似して買おうか迷う…)
しかし、ご自身で「物欲がない」っと言っている通り、笑ってしまうほどものがない。 料理とかしなさそう…
家庭的な雰囲気が一切なくても、冷たい感じがしないのは、自然光がいっぱい入る余裕ある空間だからだろうか。オナガドリの羽や北欧彫刻を集めたりと、構築的・建築的な要素の美が特に好きなんだろうなとうかがえる。
一見するとロックなイメージが強いように見えるが、都会的なスタイリッシュさよりも、何か根源的なものを追求しようとしているように見える。
そして、それが自然に着られる形になっているのだからすごい。
東京・青山にある店舗に、一度行ってみたことがあるが、不思議と人工的な空気ではなかった。
コロナ明けには作品集の出版記念ローンチパーティーを東京で開催し、rick本人が来日するということでファンが詰めかけて大盛況だったそうだ。
ご本人はハイヒールブーツを着用していて身長2mくらいになっていたらしいが、ファン一人ひとりに丁寧にサインを書いて、記念撮影に応じていたそうだ。見てみたかったな〜。
各あるファッション雑誌のrickの特集号では、日用品は全てAesopで揃えているのが写っていた。
陽気なカリフォルニアの田舎で生まれ、大変保守的なTHEアメリカンな環境にもマッチョな父親にも馴染めず(家族の詳細についてはこちらに詳しく掲載あり→https://www.tjapan.jp/fashion/17695704?page=4)、一人孤独にアートを勉強し、LAに出てブランドを設立した逸話、猫が好きで何匹も飼っている、などなど…と、もうすっかりファンというか、ストーカーである。
yohjiの時にも思ったことだが、ファッションは突き詰めると”身体性そのもの”に立ち返るのかもしれない。rickもyohjiも体を鍛えているが、単なるコンプレックスの裏返しではない真摯な生き方が、彼らのデザインをより強いものにしているのか…とか大袈裟に分析してみたが、単なる健康維持でやっているだけでしょう(笑)…
二人のデザインが黒基調であることや、ドレープへのこだわり、創業当初から男女を分けない雰囲気の作りであることから、「着てみて魅力がわかる」服作りを貫いていると思う。
“着こなす”というのは、痩せているかどうかではなく、結局は「体」そのものの存在感のこと。
そして個人的に、yohjiとrickに共通すると思うのは、その身体性が今の基準の美醜とは全く関係ないものであるところ。手足が長い、顔が小さい、身長が高い云々….なんて、人間が「自分では選ぶことができない」ものに重きを置かない。
すべての人に「素の美」を感じさせるために、シンプルなデザインを追求していると感じる。
とはいえ、シンプルであればるほど、何をも誤魔化すことはできなくなってくるので、もしこの二人の服を着るなら、ちょっとでもかっこいい体になってからにしたい…などと密かに思う、見栄っ張りな私であった。
Profile

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新潟県出身。田舎生まれ女子校育ち。
最近クラシックバレエを習い始め、怠惰な心身を鍛えるべく日々奮闘中。
趣味はいろんな国のオーガニック商品のパッケージ集め、アプリで縁起のいい方角を探すこと。
好きな食べ物は炊き込みご飯、苦手なものはマヨネーズ。
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