Tシャツに見える時代の移り変わり

昨今のファッション界は、徐々にオーバーサイズの主流軸は収まったように見える。

何から何までストリートカジュアル、ビッグシルエット…といったものは一種のブームとして消費され、コロナと共に薄らいできたと感じる。(個人の意見です)

特に今年からは、ここ5〜6年続く 80’s カルチャーから今度は 90’s に移行しようとする動きが顕著で、ハイブランドから何から、広告のビジュアルや CM はちょっと気恥ずかしくなるくらい 90’s だ。

(余談ですが、私は 90’s にティーンど真ん中であったため、今の K=POP アイドルやブランドの打ち出すファッションは、まさに当時お小遣いをためて、街に連れて行ってもらって一生懸命に買った頃のシルエットそのままである。ハイウエストカーゴパンツ、ミニタンク、チビT、蛍光色のスニーカー、スタッズベルト、そして髪型はみな一様にサラっサラのワンレンロングヘア…懐かしー!!)

特にブームの変化を知る上でわかりやすいのが「T シャツ」である。
そもそも肌着からラグジュアリーまで、時代を超えて「誰しもが着る」ものであり続ける T シャツ。その存在の確かさにはあらゆるものの表現の媒体として機能する普遍性の高さに、私は思う。

そう、T シャツは”メディア”である、と。
私はそう断言できると考える(個人の意見です part2.)。

T シャツが映し出すのは、今現在の時代の様相、現代人の意識そのもの。
女性への性差別的なファッションへの否定/性役割・ジェンダーの規範への反発 or 疑問や社会進出がビッグシルエットならば、それがブームとして去った今、次の時代を知る・写すものとして最もわかりやすいのが T シャツなのである。

…だんだん気取った言い方になってきたが、端的にいって次のトレンドを知る上で、町行く男女がどんな T シャツを着ているか?で次の時代は図れるというものだと思うのだ。

以前はざっくりした V ネックにピタピタの T シャツが主流で(特に男性が日常的にこういうシルエットを着るようになったことが時代の変遷を感じさせる)、健康な肉体を誇示するイメージが強かった。

カルバンクラインはじめ、男女ともに「どーですか!」と言わんばかりの肉体顕示欲の発露として機能していた T シャツ。

しかし、2010 年頃から丸首タイプで肌を露出しないものが流行りだし、ビジネスシーンでもジャケットの中に T シャツでも受け入れられるようになった。

そして、コロナの時期くらいから首の詰まったコンパクトなものが流行っている。
そして 2024 年はヘソだしミニだ。今までの肌見せ T シャツと違い、生地がパリッとしていて汗を吸わなそう(着ている人が汗をかかなそうに見える)なクリーンな雰囲気であることが特徴であると思う。

街を歩いて観察してみると、フレンチスリーブ(肩から短めに袖が出ている形)やボートネックなど、フレンチテイストはあまり見かけない。
わかりやすくフェミニンすぎるからだろうか?

いやしかし、周りとの差をつけるなら、フレンチテイストがむしろ先取りなのでは?…という事はこれからの女性のイメージは「強さ」から「可憐さ・知的さ」が好まれていくのだろうか…

などと楽しい妄想を抱かせてくれるのも、偉大なるプレーンファッション、時代を写す流行の媒体”T シャツ”の醍醐味と言えるだろう。

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momoPB
momoPB
新潟県出身。田舎生まれ女子校育ち。
最近クラシックバレエを習い始め、怠惰な心身を鍛えるべく日々奮闘中。
趣味はいろんな国のオーガニック商品のパッケージ集め、アプリで縁起のいい方角を探すこと。
好きな食べ物は炊き込みご飯、苦手なものはマヨネーズ。

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