太田記念美術館に行ってきました
梅雨入りした週末、渋谷区にある太田記念美術館に行ってきました。
太田記念美術館は原宿駅表参道口から徒歩5分のところにあり、実業家の五代太田清蔵氏が蒐集した浮世絵コレクションを広く一般に公開するために設立されました。約1万5000点の収蔵品は毎月入れ替えられます。
6月現在は『国芳の団扇絵〜猫と歌舞伎とチャキチャキ娘』展が開催されていて、前期が25日まで、29日から7月28日が後期となり全展示物が前後期で入れ替えになります。歌川国芳の団扇絵と扇だけの展覧会は世界で初めてだそうです。
歌川国芳(Utagawa Kuniyoshi)は江戸時代末期に活躍した浮世絵師です。武者絵で有名になりましたが、役者絵・美人画・名所絵(風景画)・戯画などさまざまなジャンルの作品を残しています。勇ましい武者絵のほかに、大好きな猫や金魚などを擬人化したユーモアのある愛らしい戯画も多く描きました。『金魚づくし』や歌川広重の『東海道五十三次』をもじった『其のまま地口猫飼好五十三疋(そのままじぐちみょうかいこうごじゅうさんびき)』などが有名です。地口(じぐち)はダジャレのような言葉遊びのことで、例えば『東海道五十三次』の「大磯」は「重いぞ(おもいぞ)」という言葉遊びと体より大きく重いタコを引っ張ろうとしている猫の絵です。私が国芳を知ったのも『其のまま地口猫飼好五十三疋』でした。いろいろなしぐさの猫たちがいて、見ていて楽しいです!国芳の絵は少ない色数でも浮世絵らしい華やかさがあり、かわいらしく親しみやすさもあって、現代でも人気があるのがよくわかりますね!
浮世絵は大きくわけて絵師直筆の肉筆浮世絵と絵師が描いた版下絵をもとに量産された浮世絵版画の2種類があります。量産して販売することが前提の浮世絵版画は、版元が企画して、絵師が描いた版画用の下絵をもとに、彫師(ほりし)・摺師(すりし)と呼ばれる職人たちが木版画で制作したものです。版画なので同じ絵柄を量産して、たくさん売ることができました。団扇は暑い夏の必需品でしたが、涼をとるだけではなく炊事などで使う実用的な道具でもありました。役者絵・美人画などの団扇が普及されると、鑑賞して楽しんだり、団扇を持って遊びにでかけるようになりました。自分の好きな歌舞伎役者の描かれた団扇を買って歌舞伎を観に行く…今でいう推し活グッズのようですね。
戯画・役者絵・美人画など前期111点のなかでも歌舞伎役者の似顔絵を猫の顔で表現した団扇絵の『猫の百面相 忠臣蔵』や絵柄を切り取って団扇に貼ると手鏡のように見える『鏡面シリーズ 猫と遊ぶ娘』などがとても印象に残っています!『鏡面シリーズ 猫と遊ぶ娘』はこの展覧会のポスターやフライヤーに使われています。若い娘さんが猫の手を持って無邪気に遊んでいる姿がかわいいですね!猫の手を持ってる娘さんの手のやわらかそうな感じ。そして猫のなんともいえない顔が…いいですね!後期も楽しみです!
国芳の画力もすごいのですが、この版下絵を彫った彫師さんたちと摺った摺師さんたちの技量もすごいと思いました!色の数だけ版木を彫らなければいけないし、髪の毛や着物の模様などめちゃくちゃ細かいのです。摺る時は薄い色から摺るのですが、位置合わせやぼかし(グラデーション)には熟練の技が必要だそうです。絵師・彫師・摺師・版元が一丸となって浮世絵は生みだされるのですね!歌川国貞の『今様見立 士農工商 職人』で浮世絵版画制作の工程が見られます。浮世絵は江戸時代の庶民の娯楽でした。機会があれば、江戸時代の庶民の文化や社会をのぞいてみてくださいね!
Profile
-
メロンパンが大好きです。
博物館&美術館鑑賞・舞台鑑賞など、心のおもむくまま記事を書いています。
Latest entries
- Lifestyle2024.11.06太田記念美術館に行ってきました
- Lifestyle2024.10.02刀剣博物館へ行ってきました
- Shopping2024.08.23アンテナショップへ行ってきました[1]
- Comics2024.07.17シアター1010 に行ってきました。