インドネシアの音楽
ジャンルを問わず聴くのが好きなので、部屋にはいろいろな種類の音楽がある。
クラシックのマルタ・アルゲリッチがあるかと思えば、バンドネオンで有名なアストル・ピアソラ、ジャズがあれば、ヒップホップもあるし、ボサノバや、ラテン音楽などもある。
もちろん日本の曲も好きだ。
江利チエミや、美空ひばりなどの昔の歌謡曲もよく聴いている。
昨夜のことだが「そういえば、あそこにあったはずなんだけど。たしか・・・インドネシアの人だったよな。」とふと思い古い記憶を辿りながら部屋の棚の奥に置かれた1枚のCDを取り出してみた。
モノトーンの手書きイラストで書かれたジャケットのデザインが懐かしい。
「ADHITIA SOFYAN(アディティア・ソフィアン)/FORGET YOUR PLANS」
アディティア・ソフィアンはインドネシアのジャカルタ出身のSSW(シンガーソングライター)である。
このアルバム「FORGET YOUR PLANS」が発売されたのが2011年頃のこと。
当時はサブスクサービスもなかったので、わたしは頻繁にタワーレコードに通ってはCDを買っていたのだが「毎週CDを3枚買う」というよくわからないルールを勝手に自分に課していた変な時期でもあった。
出費も多かったが、今、考えてみるとその変なルールが意外と良かったのかも。と思う。
聴くジャンルは確実に拡がった。
たとえば、その3枚の組み合わせを考えるときによくやっていたのが下記のような組み合わせ。
1枚目・・・邦楽のメジャーなアーティスト または、名前は知っているが聴いたことのない、少しマイナーなアーティスト
2枚目・・・洋楽のメジャーなアーティスト または、名前は知っているが聴いたことのない、少しマイナーなアーティスト
3枚目・・・全く知らないアーティスト ※試聴はNG
ここで重要なのは3枚目である。
全く知らないアーティストなので、自分が培ってきた音楽的な勘だけが頼りなのだから。
極端な話だが、リスナーとしての資質が問われているのだ。
「お前、音楽好きっぽい空気出してるけど、実際に良さを分かってるのか?」
「本当に音楽が好きなのか?」
「履歴書の趣味の欄に、「音楽」と書けなくなるぞ」
「そのバンドTすぐ脱げ」と。
たしかに実際やってみると、この3枚目はむずかしい。チェックポイントとしてはこうだ。
- ジャケットのデザイン
- アーティストの出身地
- レーベル
- プロデューサー
- 帯の情報
- アルバムタイトルや曲名
など
とはいえ、結局は直感で選ぶことになるのだが、今までの音楽的な知識を総動員して選択しなければならないことに変わりはない。
人生に失敗はつきものだ。そして選択の連続だ。
素晴らしいものもあれば、自分に合わない音楽も多かったと記憶している。
だが、その時期に出会った中の一つがアディティア・ソフィアンのこのアルバムだった。
ジャケットデザインはきっと本人か、友人のイラストレーターが描いたのだろう。と想像した。
CDの帯にはこう書いてある。
「インドネシアから届いたアコースティック“ベッドルーム”ポップの名作」
曲名を見ると
- FORGET JAKARTA
- AFTER THE RAIN
- MIDNIGHT
- INTO THE LIGHT
etc
などのシンプルなタイトルが並んでいた。
これだけそろえば、買う条件としては十二分である。「きっと当たりだな。」と確信する。
実際とても素晴らしかった。
当時、日本の音楽好きの間でも、評判になっていたと記憶している。それもそのはずだ。
最高なんだから。
インドネシアという国については、よく知らなかったが、こういう音楽が生まれてくる場所なのだと思うとなんだか幸せな気分になった。
自分の中ではインドネシア=おしゃれで良い感じ。というイメージを持つようになったきっかけでもあった。
今回、久しぶりに聴き直したのだが、その心地良さは変わらない。
そして、今度は棚の取り出しやすい場所にCDを戻した。
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”日常を少し違った視点で見てみる”をテーマに
自分の周囲、半径5メートル位にあるものなどについて書いています。
音楽やアート、文学が好きなグラフィックデザイナー。
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